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【バンドの音作り】 その1「住み分けとマスキング」
こんにちは。
Tees Music School ベース講師の植木貴士です。
今回は、バンドの音作りについて解説していこうと思います。
自分たちの信じた音楽をより格好良く整った音で演奏すれば、楽曲やパフォーマンスにさらに説得力が付いてきます。
難しいとは言わずに一度足を突っ込んでみましょう。
・音の許容量
ライブハウスでは主に二箇所、音が出る場所があります。
アンプやドラムセットが置いてあるステージ側、所謂中音と、フロアにいるお客さん側に向いた大きなスピーカー、所謂外音です。
基本的には中音に属する音よりも、外音のスピーカーから出される音の方が大きいです。
ここで重要なのは、各ライブハウスによって音の上限があるという事。
無制限に音を大きくすることは出来ません。
何故なら、ライブハウスの構造上の問題や近隣などの関係、機材自体の音の上限があるからです。
なので、この上限の中で各楽器をどのように割り振るかが、バランスの良い音を作るにあたって重要だと考えています。
例えるなら500mlのビーカーに、酒、醤油、みりんなど入れてタレを作るとます。
美味しいタレを作るにはバランスが大切ですが、ビーカーには500mlしか入れられません。
何かを入れすぎたらどうなるかは、容易に想像できますよね。
なので、音量のバランスが非常に大切なんです。
・音の住み分けとは
このバランスを整えるのに辺り、音の住み分けが重要になってきます。
楽器によって、強く出る周波数がある程度決まっています。
この周波数が出来るだけ被らないようにすることで、各楽器が聴こえやすくなる。
これが音の住み分けです。
各楽器がどのような周波数を主成分としているのか、簡単な分布図を作ってみたので、参考にしてみてください。
楽器の周波数分布図
バンド編成でよく使われるものを記載しました。
ドラムのタム類は、スネアとキックの間にあると考えてください。
・マスキング効果
先ほど、周波数が出来るだけ被らないようにすることで、各楽器が聴こえやすくなると説明しました。
逆に、周波数の近い音によって音が聴こえにくくなってしまう事があります。
これはマスキング効果と言われています。
たとえば、工事現場の近くや騒音の激しい場所だと人の声が中々聴こえない事があります。
この時、騒音に含まれる周波数と人の話す声の周波数が近いため、人の声が中々聴こえにくくなっています。
この状態がマスキング効果が起きている状態です。
逆に、騒音の激しい中でも蝉の鳴く音は聞こえるときがあったりします。
これは、騒音に含まれる周波数よりも蝉の鳴く音の方が周波数が高いため、騒音の中でも蝉の鳴く声が聴こえやすい。
先の解説でいう、騒音と蝉の声は住み分けされている、という事ですね。
ここではざっくりと解説しますが、マスキング効果も結構難しいので、もっと深掘りしてみたい方は調べてみてください。
いかがでしょうか。
今回は音の住み分けとマスキング効果に焦点を当ててみました。
住み分けできているか確認するのはいたって簡単。
スタジオなら、自分のいる位置からちゃんと全員の楽器の音が聴こえているかどうか。
リハーサルでも、音を出した時に全員の楽器の音が聴こえているかどうか。
それだけです。
ライブのリハーサルの場合、客席に降りれるなら降りて聞いてみるのもいいでしょう。
そこでまた、音量や楽器のバランスを整える事ができます。
ライブでしたら、ステージ上の中音で全員の楽器がきちんと聴こえていれば、モニターで返してもらう楽器は少なくて済み、スッキリした環境で演奏する事ができます。
色々試行錯誤して、バンドや自分のスタイルにあった音を見つけてみましょう。