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【音作りとイコライザー】その4「パラメトリックイコライザーの使い方」
こんにちは。
Tees Music School ベース講師の植木貴士です。
前回はグラフィックイコライザーとパラメトリックイコライザーについて解説しましたが、今回はパラメトリックイコライザーについてより詳しく解説して行きます。
前回の記事はこちら
・Qってなに?
前回のブログで、パラメトリックイコライザーは周波数と、上げ下げする際の山のなり方であるQが変更できると解説しました。
周波数が変更できる点に関してはここまで読んでくださった皆さんなら、もうお分かりでしょう。
イマイチ分からない方は前回のブログを参照ください。
文字での説明ですとなかなか難しい部分もあるので、早速図解で見てみましょう。
前置きとして、ミドルを上げている場合とします。
通常時
こちらの画像では、500Hzあたりを中心に山なりに上がっていますね。
それではQの幅を広くするとどうなるでしょうか。
こうなります。
Qの幅が広い場合
同じく500Hzあたりが中心ですが、500Hzを中心により広い範囲の周波数が上がっているのが分かりますね。
では、Qの幅が狭くなるとどうでしょうか。
Qの幅が狭い場合
500Hzあたりが中心なのは同じですが、極端に500Hz付近しか上がっていません。
本当にピンポインとで上がっているのが一目瞭然です。
ここまで見たらもうQがどういうものなのか掴めてきたのではないでしょうか。
・Qの幅が広い場合、指定した周波数を中心により広い範囲を増減
・Qの幅が狭い場合、指定した周波数を中心により狭い範囲を増減
することができます。
なので例えば、ライブハウスなどでいつものセッティングをしているのにどうしてもピンポイントで低音が出過ぎてしまってる場合、このパラメトリックイコライザーを使うことで、必要な部分を避けて気になっている部分のみをピンポイントで調整することができます。
いわゆる、ローが回っているときに効果的です。
・ローが回る/音が回る
今唐突に、ローが回るという単語が出てきました。
びっくりしますよね。
これは多分、皆さんが一度は経験したことがあると思います。
ライブハウスやスタジオで練習している時、低音を弾いたときだけ部屋中が低音に包まれる瞬間、ありませんか?
対バンを見ていて、特定の音を弾いた時だけすごい低音が出ている瞬間、ありませんか?
これがローが回っている状態です。
これは低音だけでなく色んな周波数に言えることですが、回っている状態とはザックリ言えば特定の音だけが異常に大きくなっている状態です。
この「回る」状態が起きる原因として、ライブハウスやスタジオによって吸音しにくい帯域があることや、音作りの段階で特定の周波数だけが大きくなっていることが考えられます。
その極端に出てしまう周波数帯域を調整しやすいのが、このパラメトリックイコライザーです。
周波数が任意で選べQの幅を調整すればピンポイントで上げ下げできるので、このような細かい調整にはパラメトリックイコライザーはうってつけということです。
調整したいけど、どこの周波数を調整すればいいか分からない方も多いと思います。
フレット毎の周波数をまとめた図を載せておきますので参考にしてください。
解放弦含め、音が回っている時にこの表を見て、どの周波数が悪さをしてるのか確認してみましょう。
普段の音作りでもかなり参考になると思います。
ベースの周波数帯域
いかがでしょうか。
イコライザーへの理解を深めることで、自分の出したい音のニュアンスや方向性を大きく変えることなく調整することが、かなり楽になると思います。
実際の現場ではスピーディーで柔軟な対応を求められることが多いと思いますから、しっかり知識として持っておくことで、その場に応じた最善策を取っていきましょう。
自分の中で、こことここは調整ポイント、こうなったらこの周波数帯域を調整すればいい、といった感じでテンプレを作っておくとかなり楽です。
ここまできたらかなりイコライザーについて知っていただけたと思うので、次回、最後にもう一個だけイコライザーの面白い部分を解説しようと思います。
かなり+αな内容です。ご承知おきくださいね。